「足算・引算・掛算混合計算課題」とは
この課題は、一つのプリントの中に「+(足し算)」「-(引き算)」「×(掛け算)」がランダムに出現する計算トレーニングです。単一の演算を繰り返すドリルとは異なり、一問ごとに計算ルールを確認し、頭の中のスイッチを切り替える必要があります。この「ルールの切り替え(転換性注意)」こそが、脳の司令塔である前頭葉を刺激し、実生活における柔軟な思考力や判断力を養います。
リハビリの目的と期待される効果
- 転換性注意の向上:異なる計算ルールを即座に切り替え、脳の「フリーズ」や「思い込み」を防ぐ力を養います。
- 抑制機能の強化:前の問題のルールを引きずらず、目の前の記号に合わせて行動を制御する力を鍛えます。
- 視覚的注意の改善:小さな演算記号(+-×)を見落とさず、正確に捉えるスキャニング能力を高めます。
このような方におすすめです
- 「計算は得意だが、うっかりミスが多い」と感じる方
- 高次脳機能障害(特に注意障害や遂行機能障害)のリハビリ中の方
- 複数の家事や仕事を並行して行うのが難しくなってきた方
- 認知症予防として、より脳への負荷(刺激)が高い課題に挑戦したい方
実施方法とステップアップのコツ
混合計算は脳が疲れやすいため、無理のない範囲で進めましょう。
1. 記号のチェック
まずは計算を始める前に、演算記号を丸で囲んだり、色を塗ったりして「記号を認識する」ことから始めると、ミスの軽減と注意力の訓練になります。
また、一問ごとに「次は掛け算」「次は足し算」と口に出しながら解くことで、聴覚情報が加わり、ルールの切り替えがよりスムーズになります。
2. 正確性からスピードへ
混合計算では「保続(前のルールを続けてしまう)」が起きやすいです。まずは焦らず全問正解を目指し、慣れてきたらタイムを計測して処理速度を上げましょう。
セラピスト・指導者へのアドバイス
この課題でエラーが出る場合、その多くは計算能力の不足ではなく、「記号の見落とし」や「ルールの切り替え失敗」にあります。もし全部足してしまっているようなら、「記号だけ先に読み上げてみましょうか」と促し、注意の対象を演算子に向けさせてください。



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