TMT-B風課題とは
この課題は、「1→あ→2→い→3→う…」というように、数字とひらがなを交互に順番通り線で結んでいくトレーニングです。世界的に用いられる神経心理学的検査「TMT(Trail Making Test)Part B」の形式をベースにしています。A形式よりも格段に難易度が高く、「情報の切り替え(転換性注意)」と「作業記憶(ワーキングメモリ)」を同時にフル活用する高度な脳リハビリ教材です。
リハビリの目的と期待される効果
- 転換性注意の強化:「数字の列」と「五十音の列」という2つのルールを、頭の中で絶えず切り替える柔軟性を養います。
- ワーキングメモリの活性化:「今は『2』まで引いたから、次は『い』を探す」といった、現在の状況を一時的に保持しながら次の行動を計画する力を鍛えます。
- 抑制機能の訓練:「1の次に2に行きたい」という自動的な反応を抑え、ルールに従って「あ」へ向かうという、行動をコントロールする力を高めます。
- 情報処理スピードの向上:複雑な条件下で素早く視覚探索を行い、判断・実行するまでの時間を短縮します。
このような方におすすめです
- 高次脳機能障害(特に転換性注意や遂行機能に課題がある方)のリハビリ
- 自動車運転再開を目指し、複雑な状況判断のトレーニングを行いたい方
- 「2つのことを同時に考えるのが難しい」「段取りが混乱しやすい」と感じる方
- 認知症予防として、高い負荷の脳トレに挑戦したい健康な高齢者の方
実施方法と活用のステップ
難易度が高いため、無理なく段階を追って進めてください。
1. 事前の順列確認
開始前に、数字とひらがなの順番(1, 2, 3… と あ, い, う…)を口頭で確認します。不安がある場合は、プリントの端に五十音表を置いておくのも一つの方法です。
2. 正確性と自己修正
まずは「1→あ→2→い…」という交互のルールを間違えずに最後までやり遂げます。間違えたことに自分で気づき、修正できるかどうかが重要なポイントになります。
3. 処理速度の計測
正確にできるようになったら、完了までの時間を計測します。TMT-Bは疲労しやすい課題ですので、休息を挟みながら、体調に合わせて実施してください。
セラピスト・指導者へのアドバイス
TMT-Bで最も多いエラーは、数字の後にまた数字を追ってしまうことです。もし「1→あ→2→3」と数字を続けてしまった場合は、すぐに指摘するのではなく、「次は『ひらがな』かな?『数字』かな?」とルールへの注意を促す声掛けを行ってください。また、運転再開評価等で用いる指標(AとBのタイム差)を意識しつつ、臨床では「どのように視線が迷っているか」「ルールを忘れていないか」という『遂行過程』を観察し、日常生活での困りごととの関連性を評価に活かしましょう。


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